かつて病室に遺言書を作りにお伺いしたことがあった。
緊急に遺言書を作りたいと思われる時というのは、もうその方に多くの時間が残されていない時でもあったりする。
その方が思いを残すことのないように、しっかりお話をお聞きし、まとめる。
そんな仕事になる。
一方、最近、自分の人生の終え方を自分で考えたいとしてエンディングノートを作られる方もおられる。
これは決して時間的に切迫されている方ばかりではなくて、日頃からの考えをまとめておきたいとされる方もおられる。
弁護士としては、老後の財産の管理の仕方、医療に関するご自身の考え方、財産を残すに当たっての考え方とそれぞれのステージでアドバイザー的な要素をもつこともあるし、場合によっては管理を将来的に行う場合もある。
とはいえ、長いおつきあいになるので、人生の立会人のような思いをすることもある。
寂しい、不安だという思いを受け止めることもあるし、一所懸命病に向き合うその人に寄り添う場合もある。
そういう時は素の人間同士の関係に結局帰着する思いがする。
生きているのはその人で、その人の生き方に頭が下がる思いをすることは決して少なくない。