今回の大震災で避難所での生活をなさっている方又はご自宅での生活をされている方、心からお見舞い申し上げます。また、ご家族、ご友人をなくされた方には心からお悔やみ申し上げます。
ふとしたきっかけで、避難所のうちの一つで「今の場所から離れてしまうと居住権がなくなってしまい、今の家には戻れないかもしれない」という話が出回っていて、遠方への避難ができないという方がいらっしゃると聞きました。
結論から申し上げます。遠方に避難することだけをもって今の家に戻れないということはありません。
ですからどうか安心して避難できる場所へ移動して下さい。
(持ち家の皆様へ)
土地も建物もお持ちの方は、所有権という権利によってその家に住んでいます。この権利は遠くに離れることによって消えることはありません。
(土地を借りている皆様へ)
土地を借りて建物を建てていらっしゃる方は土地の借地権と建物の所有権によってその家に住んでいます。建物がなくなってしまってどうなるかということでご心配になる方もいらっしゃるかもしれません。
罹災都市借地借家臨時処理法という法律が適用される場合、災害に遭った建物が滅失した時から引き続いて建物の敷地又は換地に借地権を有する人は、仮にその借地権の登記やその土地上の建物の登記がなくても政令が出てから5年以内は、その土地について権利を取得した第三者にも自分の権利を対抗することができます。これは近くにいても遠くにいても事情は変わりません。どうかご安心ください。
そしてこのとき、残っている借地権の期間が10年未満である場合は借地権の期間を10年とします。ただ、ご注意いただきたいのは、土地の持ち主から借地権を存続させますかどうですかという催告(1ヶ月以上の期間を定めている場合です)をされたときは、存続の意思を明示しなければ借地権は元々の契約の期間満了により消滅してしまいます。なお、再築の場合には土地の持ち主の承諾を得て行いましょう。
このブログは大まかな説明にとどまっていますので、細かい事情は専門家に相談しましょう。
建物を借りて住んでいらっしゃる方についてはまた次回に。