珍しく、企業法務系の投稿です。
すっかり個人の法律問題を扱う弁護士になっていますが、元々のキャリアは企業法務な私です。
さて、日本では契約書は割と軽んじられることが多いように思います。これは相手への信頼を前提としたウェットな関係が取引の土台であることによります。
よく友達同士や恋人同士、親戚同士の金の貸し借りで借用書は作らないという人がいますが、これも同じような理由でしょう。しかし、大概、このウェットな関係にヒビが入ったとき、契約は大方泣き寝入りか泥沼一直線です。
欧米の契約書では「書籍?」と思うくらいぶあつーいものもビジネスの世界では珍しくありません。これはいわゆるこれから先の取引に関するルールを決めているわけなのです。
ゲームにもルールがありますが、事実はゲームより奇なりなので通常運転では思いもかけない事態が起こることもあります。そういうリスクを予め浮かび上がらせて、その場合にどうするのがルールなのかを定めるわけなのです。自分が思わぬ不利な結果を負わないよう、互いに細かいルールを明確に決めておきます。
きちんとルールを決めることを通じて、万が一の場合に生じる結果の予測可能性をあげることができるし、ビジネスとして乗るか、やめるかという経営判断もできるようになるわけです。
野暮だと思う方もおられるかもしれません。
でも、本当に野暮なのは、関係が壊れたときにお互いで悪態つきあって、泥沼になる紛争のように私には思えてしまうのです。
契約のチェック、ドラフトの方が紛争解決にかかるコストよりも低いことが多いので、普段顧問弁護士を持たない会社でも、契約に関しては相談先を持つといいですよ。