さて、前回、コンプライアンスは実践的な概念だというお話をした所でおしまいにしています。
ビジネスはいろんなリスクを抱えています。
リスクは本当はいろんな意味を持っている言葉ですが、決して損失的な意味合いだけではありません。
プラスの意味を持っていることもあるんです。
例えば新規事業を始めようという場合、
もしかしたら投下するお金等のリソースが回収できなくなる結果も産まれるかもしれない。
でももしかしたら、誰もやった事のないビジネスでもうけちゃうかもしれない。
すごーーーーーーーーーくおおざっぱに言ってますが、
始めなければ、少なくとも投下しようとするリソースがなくなる可能性は消えるわけです。でも、一方で儲かるかもしれない可能性も消えるわけで。
さて、このワカレミチをどうやって考える?っていう時に、
ただ単に勘に頼ってエイヤッとやるよりは、いろんなリスクを分析してからやりませんかという話な訳です。
もしも、めっちゃ儲かるビジネスだという分析があったとしても、
違法だと指摘される可能性がすごく高いのなら、そのビジネスは短期間に終わる事も考えられるし、損害賠償を請求されることもありうるわけですよね。ことによったら警察に捕まるかも…
それでもやるのかい?ってことです。
そして、めっちゃ儲かるビジネスで、今のところ法律上規制はない。
でも、道義的にそんなビジネスやっちゃって大丈夫?ってことはあるわけです。
もしかしたら法規制がないのは、今までにそんなビジネスを思いついた人がいないからということもありうるわけで、となると追随者が出てきた時に叩かれる可能性はある(一罰百戒的な監督官庁は多いですからね)。
そのときに、法規制が出てきてからやめればいいじゃんという判断と、いやいや法規制が出てきてからやめるんなら、そもそもそんな危なっかしい事やめましょうよという判断はあるわけです。
ここで考えるのがたとえば、コンプライアンスリスクというわけです。
でも、最終的にビジネスとしてゴーサインを出すのは経営者。
経営者は様々な分析を把握した結果、最終的に自分の会社をどう舵取りするかを決めるわけです。
よく「コンプライアンスは何でもダメ!という」と言われる事が多いですが、これは半分は当たっていて、半分は外れています。
コンプライアンス上問題が生じる可能性があるときに、「こういうリスクがありますよ」とお知らせするのがコンプライアンスのお仕事だというわけです。
しかし、その状況、問題においてその色合いは様々です。
経営者はリスクの色合い、その分析をした理由をきちんとコンプライアンスから把握し、
その他のリスクを踏まえた上で最終的な舵取りをすればよいということになりますし、優れたコンプライアンスはそのようなことを伝えられるセクションだということになるのかと思います。